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PSLXコンソーシアムの年一回の大イベントである技術フォーラム2005が、今月15日に開催されました。当日は、90名を越す
参加者で、当初準備した席が不足するほどの大盛況でした。
まず、前半の講演では、本年度PSLXプロジェクトであるMESX ジョイントワーキンググループの活動報告を三菱電機の渡部裕二氏が、
半導体製造工程向けオブジェクトモデル開発プロジェクトの活動報告 を一橋大学の尾畑裕教授がそれぞれ行いました。渡部氏の講演では、
PSLXを製造現場の工程制御のレベルと連携させるために必要となる 現場レベルの共通モデル開発の現状と、これから行う実証実験の方針に
ついて説明がありました。MESXでは、これまで策定してきた仕様を もとに、PSLXが最終的には制御レベルの製造ソフトウェアと連携
するテストベットを、これから数ヶ月かけて構築する予定だそうです。
一方、尾畑教授の講演では、デモを交えて、半導体前工程における原価 管理の新しい適用の仕方の提案がありました。つまり、従来の画一的で
視点の固定された原価計算ではなく、経営者が要求するさまざまな視点 で工場の実態を把握しようとう試みです。このため、PSLXのオブ
ジェクトを拡張し、原価計算における前提条件や計算のための軸などを 事後的に変更可能であるオブジェクトを準備しました。また、さらに
時間的な要素も加え、将来的には、原価計算結果を計画やスケジューリング にも利用可能とする構想も披露され、PSLXの新しい展開と可能性を
強く示唆した内容の講演でした。
休憩に引き続き、後半の講演では、PSLXコンソーシアムがこれから 策定していく技術仕様の方針とロードマップ、そして具体的な仕様の概略
についての説明がありました。まず、西岡靖之教授によって、PSLX 技術仕様の国際化の現状と、勧告仕様バージョン2へ向けての具体的
な策定内容のプランについて提案がありました。勧告仕様バージョン2 は、この7月より技術委員会の活動が開始される予定であり、すでに
発行されたホワイトペーパーをベースに具体化される予定です。おそらく このバージョン2仕様の勧告がある来年の春と同時期に、PSLX仕様
を実装した多くのアプリケーションが市場に出回るでしょう。
PSLXの実装のための仕様としては、大きくRDB標準仕様とXML 標準仕様があります。前者は、既存の数多くの生産管理システムで利用
されているRDBスキーマの標準形となるものであり、PSLX技術 専門委員会でこれから議論がスタートします。一方、後者のXML標準
はアプリケーション間のメッセージ交換に関する仕様であり、OASIS のPPS技術委員会にて議論されます。講演の最後は、このPPS技術
委員会のエディターである和田浩一氏によって、OASISでの仕様 策定のしくみと、PPS技術委員会で策定中のパート1(コア要素)に
ついての紹介がありました。なお、パート1は現時点で委員会投票が 行われている最中であり、近々英語版での投票も行う予定でいます。
今回、特に非会員の参加者が非常に多く、PSLXコンソーシアムの 外部からの関心が高いことを印象づけました。これは、おそらく、これ
からこの分野で国内と海外とが渾然となって繰り広げられるであろう 標準化の大波の予感と、スケジューラーにとどまらないAPSという
生産管理の新しい形が徐々に実際のものになりつつあるという期待 などがその要因ではないかと推察します。小粒だがこの分野においては
多大な影響力をもつ「アクティブで魅力的な団体」として、来年度 (7月以降)もさらにギアを一段上げて活動を続けていきましょう。