オーダに関する情報
取引先との関係
取引先(Party)
オーダには、企業の内部で閉じたオーダと、企業間で受け渡しが行われるオーダがあります。企業間でのオーダの場合、まず相手についての情報が必要となります。
まず、取引先オブジェクトは、その製造業からみた場合の外部に位置づけられる意思決定者でありビジネス上の取引相手です。取引先との間には、ビジネスとして、利害関係が発生します。APSは取引先との間で、受注オーダあるいは発注オーダという契約を交わしながら意思決定とそれに対応する業務の実行を行います。取引先オブジェクトとしては、企業以外に、個人の場合も含まれます。
取引先は、企業間のオーダを送るまたは受け取る相手であり、企業にとってビジネス上の相手となるオブジェクトです。取引先は、オーダによる依頼の関係から、得意先と仕入先という2つのサブクラスが定義可能です。
得意先(Customer)
得意先は、外部へ製品やサービスを販売する場合に、その相手となる取引先です。得意先である取引先は、受注オーダの発行元となります。
仕入先(Supplier)
仕入先は、外部から製品やサービスを、対価を払って購入する場合に、その相手となる取引先です。仕入先である取引先は、発注オーダの発行先となります。
企業間のオーダ
オーダには、取引先から受け取る受注オーダや取引先への発注オーダといった企業をまたがるオーダや、生産オーダ、在庫オーダ、能力オーダといった企業内部のオーダがあります。
図1 オーダのオブジェクトモデル
受注オーダ(Sales Order)
受注オーダは、オーダのサブクラスとして定義できます。これは、得意先からの要求を表現するためのオーダです。受注オーダには、見積、内示、見込、確定などさまざまな状態のものが含まれます。なお、受注オーダのクラスに属するオブジェクトは、必ずしも企業オーダのクラスに属する必要はなく、拠点オーダや作業区オーダといったより下位の階層のクラスである場合があります。
発注オーダ(Purchase Order)
発注オーダは、オーダのサブクラスとして定義できます。これは、仕入先に対する要求を表現するためのオーダです。発注オーダには、受注オーダと同様に、見積、内示、見込、確定などさまざまな状態のものが含まれます。なお、発注オーダのクラスに属するオブジェクトは、必ずしも企業オーダのクラスに属する必要はなく、拠点オーダや作業区オーダといったより下位の階層のクラスである場合があります。
内容による分類
オーダのサブクラスには、受注オーダや発注オーダというサブクラスがある一方で、同時に、その内容によって、以下のように生産オーダ、在庫オーダ、能力オーダに分類できます。これらの3つのサブクラスは、どれか1つに必ず分類されます。これらの3つのサブクラスは多重のサブクラスであり、たとえば、あるインスタンスは、受注オーダであり同時に在庫オーダである、ということが可能です。
生産オーダ(Production Order)
生産オーダは、何らかの生産プロセスの実行を要求するオーダです。生産オーダとして、ひとつのプロセスを指定し、その実行を要求することができます。一般に生産オーダは、製品や資材を生産することを目的としているために、それらの製品や資材を指定する場合がありますが、これはプロセスの実行の結果得られるものであり、副次的なものとなります。
在庫オーダ(Inventory Order)
在庫オーダは、製品や資材など特定の品目の在庫レベルの増減を要求するオーダです。生産オーダと似ていますが、在庫オーダは、対象品目の特定時刻における数量のみに注目しており、その手段について言及しません。ただし、在庫オーダの要求を満たすためには、生産オーダによって対象品目の生産や消費や移動を要求しなければなりません。
能力オーダ(Capacity Order)
能力オーダは、生産を実施するために必要となる資源あるいは資源能力を要求するオーダです。一般に生産プロセスを実行するためには、資源が必要となるため、その資源を一定期間確保しなければなりません。このような資源あるいは資源能力に対する要求をオーダとして表現したものが能力オーダです。能力オーダで要求する資源あるいは資源能力の単位は仕事量であり、資源のキャパシティ(能力量)と時間の積となります。
計画関連情報
計画(Plan)
計画オブジェクトは、あらかじめ定められた計画期間におけるいずれかの期について、さまざまな生産活動の集計値を表現することができます。これらの計画オブジェクトは、生産計画、在庫計画、そして能力計画の3つのサブクラスのいずれかに属することになります。計画オブジェクトは、計画値のほかに、実績値も表現することができます。
図 5?2 計画のオブジェクトモデル
生産計画(Production Plan)
生産計画は、計画期間において対象とする特定の期における生産活動の内容を表現します。これは、生産オーダの内容を集計したものとして定義することができます。生産計画オブジェクトには、計画値と実績値の両方を設定することができます。
在庫計画(Inventory Plan)
在庫計画は、計画期間の特定の期における特定品目の特定場所の在庫に関する計画です。期首または期末の在庫レベルや、期中の生産数量および消費数量、そしてその差異に関する計画値あるいは実績値となります。このオブジェクトは、在庫オーダの集約として定義することもできます。
能力計画(Capacity Plan)
能力計画は、計画期間の特定の期において、特定の資源が生産能力を提供する量についての計画あるいは実績を表すオブジェクトです。ここで設定する情報の単位は仕事量であり、たとえば期中に提供される資源のキャパシティ(能力量)と時間の積となります。このオブジェクトは、能力オーダの集約として定義することができます。