企業における意思決定階層
実際の製造業の意思決定のモデルとして、APSがどのように位置づけられ、具体的にどのような形で実装されるかについて説明します。まず、企業全体の視点から、そこに存在するあらゆる意思決定について、意思決定の6つの階層を導入して整理します。以下の図には、意思決定のレイヤとして、物理レイヤ、設備コントロールレイヤ、ワークセンター統制レイヤ、スケジュール管理レイヤ、計画管理レイヤ、そして戦略レイヤを示しています。
このうち、APSは、計画管理レイヤ、スケジュール管理レイヤ、そしてそれら2つのレイヤと接する上下のレイヤの一部が対応しています。この部分は、以下の図でも示しているように、製造部門とビジネス部門がオーバラップしている領域であり、さらに、下位のスケジュール管理レイヤの部分は、場合によっては異なる工場または異なるエリアに分散されて配置されている場合もあります。
第二部で紹介する業務機能パッケージのほとんどは、この2つのレイヤの部分に位置づけられます。以下の表に、各業務機能パッケージが、この意思決定階層の中で、おおよそどこに位置づけられるかを示します。
表 意思決定レイヤと業務機能パッケージの関係
計画管理関係 | ライフサイクル 関係 |
サプライチェーン関連 | |
戦略レイヤ | 経営企画 | ||
計画管理 レイヤ |
利益管理 | 設計開発 | 受注管理 |
需給調整 | 技術管理 | 発注管理 | |
生産計画 | 保守管理 | ||
スケジュール 管理レイヤ |
生産計画 | 技術管理 | 出荷管理 |
品質管理 | 入荷管理 | ||
工程管理 | 保守管理 | 在庫管理 | |
統制レイヤ | 工程管理 | 在庫管理 |