サプライチェーンの視点

サプライチェーンの視点では、仕入先を対象とした機能と、得意先を対象とした機能の2つに分類できます。図に一覧を示します。得意先を対象とした業務機能ブロックとしては、得意先開拓、販売計画、得意先管理、受注管理、得意先仕様管理、出荷検査、出荷管理、製品在庫管理、そして、販売実績管理の9つがあります。

また、仕入先を対象とした業務機能ブロックとしては、仕入先開拓、購買計画、仕入先管理、発注管理、仕入先仕様管理、入荷検査、入荷管理、資材在庫管理、そして、購買実績管理の9つがあります。

図 サプライチェーンに関する業務機能ブロック

得意先との連携

得意先開拓(401)は、将来の得意先を得るために、さまざまな活動を行います。すでにある製品に対する得意先の場合には、その製品のプロモーションを行いニーズを掘り起こします。また、製品が明らかでない場合には、市場調査を行って、潜在的な得意先の存在を明らかにします。

販売計画(402)は、製品ファミリまたは製品カテゴリごとに、短期または中期の販売数量を計画します。設定される数量は、統計的に行う需要予測によって得られる場合のほか、個々の販売担当者の実現可能な目標値や、得意先から得られた内示情報や発注見込み情報などを集計することで得られます。この情報は、需給調整計画や基準日程計画で利用されます。

得意先管理(403)は、個々の得意先がもつ固有の情報を管理します。受注や出荷や納入のために必要な事務的な情報のみならず、得意先企業が作成した生産計画や需要予測など、将来の受注につながる内部情報なども管理します。また、得意先から受けた過去の受注に関する統計的な情報も管理します。

受注管理(404)は、得意先からの引合いや見積りに対応し、実現可能な納期や数量を決定し、内示注文や確定注文を受け付けます。また、生産の状況に応じて変更になる納期について交渉し、最終的に製品が得意先の指定した場所へ納入されるまでの一連の流れを管理します。

得意先仕様管理(405)は、得意先から受注した製品の仕様が、得意先特有のものである場合、または、得意先に最終的に納入する製品の仕様が、さまざまなオプションの組み合わせで構成されている場合に、それらの仕様を管理します。受注時点で詳細の仕様が確定していない場合などにも対応します。また、得意先がもつ製品の番号体系と、企業内の品番との対応関係を保持します。

出荷検査(406)は、製品を出荷する前に、その製品が、得意先が要求する仕様と品質を満たしているかどうかを検査します。また、製品ごとあるいは得意先ごとに必要となる検査項目を設定します。検査に不合格となった製品については、得意先の納入に支障がでないように早急に対応を指示します。

出荷管理(407)は、得意先からの受注情報をもとに、出荷場所において、実際の製品と受注内容を対応させ、納期どおりに納入できるよう出荷を指示します。出荷にあたっては、出荷検査を行い、検査報告書や、納品書その他の帳票を準備し、製品とともに得意先に送ります。また、得意先が指定する納入場所までの輸送の手配をおこないます。

製品在庫管理(408)は、見込みで生産を行う場合に、将来の受注にそなえて、得意先に向けて出荷可能な製品の在庫を管理します。工場で生産が完了した製品の製品倉庫への入庫処理と、受注に対応した出庫処理によって製品の在庫数を常に把握するとともに、定期的な棚卸しで実際の数量の補正を行います。

販売実績管理(409)は、得意先ごと、あるいは製品ごとに、販売の実績を管理します。実際に出荷し納入した実績のみでなく、潜在的な需要である受注や引合いの実績を別途管理する場合もあります。また、将来の需要予測に利用するために、過去の販売実績情報に対してさまざまな統計的処理を行い保持します。

仕入先との連携

仕入先開拓(501)は、品質、コスト、納期の点でより優位な仕入先を確保するために、その時点で取引関係のない企業をも対象に、仕入先企業の評価と選定を行います。特に、新規に製品開発を行う場合には、あらたな要素技術や機能部品が必要となり、新しい仕入先開拓のために、要求品質と実際との対応や、具体的な契約条件等を設定します。

購買計画(502)は、必要な資材を、必要なときに調達できるように、あらかじめ所要量の計画をたて、仕入先との調整に利用します。購買計画は、企業全体あるいは個別の仕入先ごとに中長期的なレンジで設定され、これを仕入先に知らせることで、仕入先との連携を強化します。計画数量は、基準日程計画の内容をもとに計算されます。

仕入先管理(503)は、仕入先に関する基本情報を管理するとともに、発注に対応した資材納入実績を常に監視し、個々の仕入先の能力を管理します。仕入先の評価は、品質や納期遵守度などをもとに設定され、それに応じて基準単価の設定など、取引関係や条件を定期的に更新します。仕入先には、工程の外注先も含まれます。

発注管理(504)は、個々の資材について、仕入先に対して発注あるいは納入指示をおこないます。新規の資材については、引合いから見積りを経て、最終的な確定発注にいたるステップを管理し、さらに検収が終わって支払い処理が完了するまでの一連の流れをフォローします。

仕入先仕様管理(505)は、仕入先に依頼した資材の図面やその他の仕様を、個々の発注案件ごとに管理します。特に、仕様が変更となった場合や、新製品や個別受注生産などで、仕様が新規に設定されるような場合、その仕様内容の変更履歴を管理し、実際に納入された資材と仕様のバージョンとの対応関係を明らかにします。

入荷検査(506)は、仕入先から納入された資材が、設定された品質要件を満たしているかを明らかにするために、検査の項目や実施方法を設定します。また、検査によって合格したものと不合格となったものをそれぞれ管理し、合格品のみ入荷処理を行うように手配します。

入荷管理(507)は、仕入先に対する発注あるいは納入指示の情報と、入荷エリアにおいて行われる実際の納入処理との対応関係をとり、物理的なものの出入りを管理します。また、納入された資材に対して入荷検査をおこなった結果をもとに、検収処理を行います。分割納入や納入数量の端数処理などもここで管理します。

資材在庫管理(508)は、資材在庫の入出庫を管理し、個々の資材の在庫レベルが常に望ましい値であるための管理を行います。仕入先から納入された資材の入庫処理や、生産現場の要求に対応した出庫処理を行うことで、在庫量の理論値を管理するとともに、定期的に棚卸しを行い、実数量を把握します。

購買実績管理(509)は、仕入先に対して行った発注や納入指示に関する実績情報を保存し、発注内容とその結果に関する後の解析のための基本情報を提供します。仕入先別や資材別に過去にどのような納入実績があるかといった検索依頼に対応します。